平成1年3月8日に不思議なご縁で骨董品店から我が家に移られた観音様は、背丈20センチの小さなものであった。
しかし小さくても、八頭身のスラリとした優しい佇まいとそれに相反した円空彫りのような粗い、力強い刀痕はあきることのない魅力があった。そして弥勒菩薩のような少し微笑みかけた風情かなんともいえなかった。
私はこの仏像を1週間抱いて寝た。それは平安朝からこれまでの長い時空を超えて私の手元に来られるまでの行脚の疲れを癒すためであった。
写真では黄金色に輝いているが現物は真っ黒なのだ。年賀状用に撮影した時だけ黄金色に輝いて写った。
その一週間後に私の栓抜き曲げ・スプーン曲げが始まった。