娘が働いているので孫を預かる時間が増えた。商売をしているのでどうしても店の中で仕事をしながら一緒に過ごすことになる。
2才と3ヶ月になった孫は、私たち夫婦の店内での動作を実によく観察している。そして自分が真似できるものを次々とチャレンジして身につけている。門前の小僧がお経を覚えるのと同じだ。
半年前までは、お客様が来られて声をかけられると、素早く私たち夫婦の後ろに隠れて恥ずかしがっていたのに、今ではお客さんが来ると待っていたかのように書いている絵をみせたり、きている服の飾りなどを「おじちゃん見てみて!」とか「おばちゃんこれ見て!」と話しかけるようになった。
最近は、その孫がお客さんにカウンターで「あ~とう(ありがとう)」と頭をさげたあと必ず店外まで見送りにでるようになった。「おじちゃんにバイバイする」、「おばちゃんにバイバイする」といって私たちに抱かれて表まで見送りに出るのだ。
保育園から帰るとき必ず園長先生や担任の先生が「バイバイ」と手を振って送り出す習慣がついているためだ。
お客様の買い物がケース単位のときとか、乳母車を押すお年寄りとか雨がふっているときなどはできる限りお客様の立場を考えてお手伝いするようにしている。
しかし孫はガム1個のお客さんやタバコ1個のお客さんも同じお客様なのだ。孫は「あ~と」と頭をさげて「バイバイ」と手を振る。私たちが頭を下げずに笑顔で手を振って挨拶していると「ジイジ!あ~とは?」と私たちの頭をさげるように押さえつける。
差最近お客さんの中にはこの孫の笑顔と挨拶がたのしみで度々来られるお爺ちゃん、おばあちゃんが増えた。 孫が来ていないと「今日はお孫さんは?」のあいさつになる。
私たちに足りない無心。やればできることを孫から教わっている