総合医学社 人体カラーアトラスに掲載されている胸腺図
『胸腺』Jダイアモンドの著書より
胎児期から児童期にかけて、胸腺は成長に欠かすことのできない働きをする。実験動物に胸腺エキスを与えると、成長率が劇的に向上するということが実証されている。それ以上に重要なのは、胸腺がリンバ球、すなわち体内の免疫反応に重要な役割を果たす白血球にとっての「学校であり工場である」という点である。
リンパ球は未熟な状態で、骨髄から胸腺へとやってくる。胸腺ホルモンの影響を受けて成熟したリンパ球は、胸腺を離れてリンパ節と脾臓に移り、そこでT細胞と呼ばれる別のリンパ球を創り出す。胸腺から離れたT細胞に対しては、血流を通じて運ばれる胸腺ホルモンが影響を及ぼし続ける。
胸腺は人生の後期にいたるまでホルモンを分泌し続けT細胞を「養成」し、送り出し続ける。思春期が過ぎると、成長に関与しなくなるため、大きさが減少する。ストレスその他のの要因が存在すると、それ以上に萎縮してしまう。
胸腺はこのようにして、T細胞が自己と他者、友と敵を見分け、異質な細胞を破壊するという任務を遂行できるように働くのである。
この細胞が果たす免疫上の役割は、感染やガンへの抵抗ときっても切れない関係にある。生涯を通じて胸腺の活動を促進することが出来ればできるほど、ガンの予防能力は高まるのである。
続きはまた明日・・・・・