「八面玲瓏(はちめんれいろう)」という言葉がある
① どの方向からみても、美しく光り透っていること
② 心中に少しのわだかまりのない状態
③ 心中に少しのくもりもなく、多くの人との交際を円滑に処理すること
私が知ってる範囲で、この言葉を贈るとしたらこの人しかいないと思わされたのが竹内武城先生だった。
後にも先にもそのような人に巡り逢う事がない。「巨木の長さは倒れた時にはじめてその長さが分かる」と言われるがそのとおりである。
先生の奥様もまた素晴らしい方だった。先生には及ばないまでも、俳句の才能が豊かだったが先生から一歩引いて目立たずにたえずお弟子さんを立てるよう気を配られていたし、先生もお弟子さんの前では奥様の俳句を褒めることをしなかった。
その奥様から1回忌のときに先生の句集「白牡丹」を戴いた。贈呈するために数百冊作成されたが限定で特別あつらえの句集を少し作られた。
写真の句集がその句集。先生が愛用されていた着物で表装されていた。それをごく親しい人に手渡された。このとき、亡き先生を想う奥様の深い深い愛情を究極の形で知ることが出来た。
時々この句集を取り出しては表装の着物の生地をそっと撫で先生の温かさを偲ぶことがある。
先生の誕生日が私と同じ6月8日だった。不思議なご縁をいただいた。