私の部屋に柔道の優勝トロフィが1つだけ飾ってある。私が会社を辞めるとき柔道部の送別会でお餞別にと手渡されたものだ。
1962年に柔道部入って初めて受身から習いはじめて、1979年までの17年間でたった1回愛媛県大会で団体優勝したその記念品なのだ。
柔道愛好クラブでスタートした柔道部が、愛媛県柔道大会で愛媛県警、帝人、東レ、松山刑務所、大学チームを撃破して優勝するという伝説的な奇蹟を起こしたのだ。
奇蹟【既知の自然法則を超越した不思議な現象で、宗教的真理の徴とみなされるもの】
それから私個人の奇蹟がある。1973年丸善石油の全事業所の柔道大会が開催された。出場メンバーを見ると私が勝てる相手など一人も居なかった。しかし試合が進行し、気がつくと決勝戦の試合場に私が立っていたのだ。相手は全日本の試合に参加していた強者で到底私が敵う相手ではなく綺麗な1本で決められた。観戦していた工場長が「あれほど綺麗に決まった背負い投げは今まで見たことが無い」とコメントしたほど見事な負けっぷりだった。しかし準優勝なのだ。
この二つの受賞は『まじめに続けているとたまにはいいことがあるよ!』という神仏のお情けだと感じた。
仕事の上で劇的な感動を記憶していないが、合唱団の活動、柔道の活動でこのような豊かな想い出が残ったことを深く感謝している。