初めて来院されてからもう7年以上になるSさんから、昨日昼前に電話が入った。「今病院で検査が終わり、先生から『完治』の結果報告がありました」
郵政に勤めるSさんは松山勤務中に肝臓ガンが発見された。冠動脈を取り巻く珍しいガンで6cm以上の大きさがあり、手術のリスクが大きく、家族には手術室に入る前に覚悟を言い渡されていた。
Sさんのガンは、職場の健康診断で偶然に発見されたもので、特に症状は出ておらず至って元気だったが、 医師から症状の重大さを告げられていた。
ご夫婦ともに励ます余地がないほど落ち込んでおられたが、子供さん二人がまだ幼くて「覚悟はしているが今死ぬ訳にはいかない」との決心。
そして可能な限り手術を引き延ばして、自然治癒力を高めて免疫を活性化する方法をとり私がお手伝いできる範囲のことを尽くした。
2ヵ月後、大変困難な手術だったが手術は一応成功した。しかし手術後の転移の可能性もあり完治報告を受けるのに7年もかかった。
転勤になり、単身で転々とされたが、松山に帰省するたびに整体に来られ、検査の度にも松山に帰ってきてその足で来院された。
Sさんは天体観測が好きで、休みには望遠鏡を持って星空の見える山に登っていた。この7年間、地球に近づいた全ての彗星の話聞かせてもらった。確か手術前に佐治晴夫先生の「宇宙が教えてくれるもの」の本をお貸しして「退院したらまた星の話を聞かせてくださいね」と激励したことを覚えている。
昨日Sさんは、完治の最終報告を受けるまで、検査のたびに『再発』を宣告される覚悟をしていたと初めて明かしてくれた。 闘病とはそういうものなのだということを深く知った。
Sさんはガンという言葉から開放されて、晴れ晴れとして宇宙の彼方の全く違った世界を眺め続けるだろう。