日曜日は余ほどののことがない限り仕事をしないことにしているが、昨日は「何とかお願い!」と頼まれ高校一年生のスポーツ選手を整体した。
陸上部の短距離選手でカモシカのような華奢な体形だが、練習のし過ぎで身体バラバラだった。中学時代は中学生仲間ではトップランナーであっても高校に入ると3年生と比べると体力差は歴然、それを同じ練習メニューをこなし、しかもタイムを競うわけだから物凄い身体的な負担と精神的プレッシャーがかかっている。
整体する上で一番やっかいなのがこの筋肉の「使いだれ」だ。一番の治療方法は休養することなのだがそれが出来ない。アンバランスな体力で続けるからタイムはどんどん悪くなる。そして精神的に参ってしまうことが多い。
平成9年1月に知人が当時ヤクルトでプレーしていたI選手とM選手を整体に連れて来た。毎日の練習で鍛え上げた筋肉は素晴らしかったが、やはり「使いだれ」がひどく本来の力を発揮できないままで前のシーズンを終えたのも納得出来た。
整体をしたあと呼吸法と名刺で割り箸を切る氣の集中方法を教えた。M選手は簡単にそれを体得して帰った。そのとき記念にと色紙にサインをしてくれた。その色紙には名前の横に「3/・」と大きく書いていた。「今シーズンは3割以上打つ!」という気迫のサインだった。
その年M選手は残念ながら規定打数が足りず賞は貰えなかったが、3割7分高打率を達成して皆を驚かせた。心技体のバランスがよければ素質を生かせるのだ。
整体を施した女の子はどこを少し押さえても、優しくさすっても痛いというぐらい筋肉が疲れきっていた。小学生のバレー選手にもこのような若年寄が沢山いる。猛練習に耐えて成長する部分もあるが、バランスをとることと最低限の休養は大切である。
身体を壊してしまってからでは遅い。
サラリ
サラリと
流してゆかん
川の如く
サラリと
忘れてゆかん
風の如く
サラリと
生きてゆかん
雲の如く
坂村真民